本日は、原料メーカーの投資と戦略についての記事です。
タイトルは、原料受託バンクを見ていても、よく分かることです。どんな資料やデータが公開されているかで知ることができるでしょう。原料メーカーは、戦略によって、主に2つ(深堀りタイプ or 安売りタイプ)に分類されると考えて良いだろう。
販売者さんでも、受託加工会社さんでも、商社・問屋さんでも、原料受託バンクなどで原料を選定する際、必ずどちらのタイプかを判断した上で選定した方が、失敗が少ないでしょう。
結構、変な原料メーカーと取引を始めて、後からえらい目に合うということは、多々ありますからね・・・。
まぁ、どの程度深堀りするかでも原料メーカーの特徴が分かれてくるのですが・・・
基本、コストの掛け具合です。
原料への投資とも言えるでしょう。
その原料への投資としてコストをかける場合、優先度やコスト順にリストアップすると、以下のようになります。
※食品添加物は除く
1.細かい学術資料の作成(人件費のみ)
2.安全性試験の実施
2-1. 単回投与毒性試験
2-2. エームス試験
2-3. 反復投与毒性試験(28・54・90日)
2-4. 小核試験・遺伝子毒性試験 ※主にポリフェノール素材
3.機能性試験の実施
3-1. 試験管試験や動物試験
3-2. ヒト臨床試験
4.特許の取得
このリストは、深掘り戦略で原料販売を行っていく上で、是非、参考にしていただければと思います。
1は、どこの理系の人間が在籍すれば、レベルは別にして、どこの会社さんでも作成可能です。
まぁ、例えば原料受託バンクは、資料数や種類の種類などから、それがすぐにわかります。
資料が何もない原料メーカーは、原料に投資する気がないと考えた方が良いだろう。(基本、私は、選択から外しています。)
ちなみに、資料は、基本、文献が示されたエビデンスベースである必要があります。
近年、業界でも、常識になりつつあります。
さらに、これからの時代、どう?情報発信するかも重要になってくると思います。
反復投与毒性試験は、28日でも数100万円(国内では650万円くらい)のコストがかかりますが、弊社の場合、方針として、一定量販売する予定の原料に関しては実施することにしています。
まぁ、安く試験するスキームが確立できているからでしょう。
それでも、金がかかります。
原料への投資感覚がないと、なかなか予算を投じれないです。
最後の段階のヒト臨床試験は、機能性表示食品に対応しようとすると、1000万円くらい普通にかかってきます。高いバイオマーカーを使って3群で行ったりすると、2000万円近くになることもすくなくありません。
とにかく、金がかかります・・・。
実際、受託加工会社さんの中でも最大手と呼ばれる会社さんは、原料選定を行う場合、一定基準で投資されている原料しか選定されません。
例えば、単回投与毒性試験は必須、反復投与毒性試験(28日以上)やエームス試験は推奨という感じで、非公開設定されています。
コンプライアンス 面が厳しくなっているため、当然の流れだと思います。
最大手の1つの某社さんなんて、ここら辺が、めちゃ厳しいですからね・・・。
まぁ、きちんと要求を満たせれば、大きな売り上げにつながる訳ですが。
ちなみに、古くて大きい原料メーカーさんの中には、3-1の 試験管試験や動物試験まで徹底されている会社さんも存在します。それは、優秀な研究員を抱えているため、可能なんだと思います。
実働部隊を持たず、ファブレスな原料メーカーである弊社には真似できない戦略。凄いなぁと思います。
どんなに新規参入しようとされても、各社で、こういった表に出ない選択基準が存在するため、この篩で落とされるケースも多いのです。結局、こういった原料への投資を深掘りするほど差別化材料になり、付加価値を付けて原料流通させることが可能になります。
原料に投資しておらず、データ等がなければ、こういった選定基準がない、選定基準がザルの顧客に対して営業を行うしかないのです。そいった顧客は、基本、コストだけです。
したがって、コストで勝負する必要性が必然的に出てくるので、どうしても薄利多売の安売り戦略になりやすいのです。
まぁ、添加物系の原料も、コスト合戦になりやすい理由も、ここにあります。
深掘り面で差別化しにくい。
特許に関しては、いろいろな意味があります。今後、市場では、重要度が増していきます。
例えば、弊社の赤ワインエキスのように、最終顧客の販促目的というのも1つ。
もちろん、並行輸入原料や類似原料の排除という重要な役割もあります。赤ワインを原料にすると、必ずLPSが生じるので、カラムに通してエタノールまたは含水エタノールで溶出していれば特許に抵触するので、ピンポイントで並行輸入原料や類似原料だけを排除する特許になっている。
でも、抵触していても、抵触する可能性があっても流通し続ける原料メーカーさんが存在します。やっぱり、特に、製法特許だと、実証しにくく、成分の含有が特徴だと、分析して示す必要が手間だからです。
一方で、最終顧客や大手受託加工会社さんは、コンプライアンス面より、そんなリスクは冒さないです。弊社の赤ワインエキスについても、それが顕著に表れ始めています。
しっかりと、深掘りしている原料を販売していく上で、さらに深掘りしていくには、こういった特許取得も重要になってきます。
そして、深掘りタイプの原料販売事業は、投資マネージメントビジネス と言っても過言ではないでしょう。
まぁ、いずれにしても、深堀り or 安売り、どちらを選択するかは、各原料メーカーさんの方針次第。どちらが正解とは言えないでしょう。
むしろ、トコトンどちらかを選択して、徹底しているメーカーさんほど、上手くいっているような感じがします。
弊社は、言うまでもなく、深掘りタイプ。だから、独自性のある原料しか選択しません。
この深掘りタイプの戦略を選ぶと、今後、ヒト臨床試験を定期的に行っていく必要が生じてきます。
そのためには、的確かつ効率的(;低コスト)で試験を行っていけるような体制を築いていく必要があります。ここ数年、新たなヒト臨床試験実施モデルも構築しつつあります。
常に努力だなぁと思います。
【独り言】
今回の戦略については、経営者の手腕が問われるところだと思います。
収益が出ても、経営者の高い給与に消えていくだけの会社も少なくない業界です。原料にも新たな投資を続けなければいけないし、社員にも還元しなければならない。
業界も成熟したので、単なる輸入商社では生き残っていけない時代。
ほんと、いろいろな形の原料投資があるだろう。
弊社は、すでに第2ステージとも言えるような、新たな原料開発に進みつつあります。
「日本の技術」 を世界に発信していくべく、新たなスキームで原料を開発していく必要があるだろう。
そうしなければ、国内だけでなく、国際社会でも勝ち残っていけない。
ぶっちゃけ、中国企業に敵わず、ドライにコストだけを追求し続けた米国市場のようになってしまうだろう。
タイトルは、原料受託バンクを見ていても、よく分かることです。どんな資料やデータが公開されているかで知ることができるでしょう。原料メーカーは、戦略によって、主に2つ(深堀りタイプ or 安売りタイプ)に分類されると考えて良いだろう。
販売者さんでも、受託加工会社さんでも、商社・問屋さんでも、原料受託バンクなどで原料を選定する際、必ずどちらのタイプかを判断した上で選定した方が、失敗が少ないでしょう。
結構、変な原料メーカーと取引を始めて、後からえらい目に合うということは、多々ありますからね・・・。
まぁ、どの程度深堀りするかでも原料メーカーの特徴が分かれてくるのですが・・・
基本、コストの掛け具合です。
原料への投資とも言えるでしょう。
その原料への投資としてコストをかける場合、優先度やコスト順にリストアップすると、以下のようになります。
※食品添加物は除く
1.細かい学術資料の作成(人件費のみ)
2.安全性試験の実施
2-1. 単回投与毒性試験
2-2. エームス試験
2-3. 反復投与毒性試験(28・54・90日)
2-4. 小核試験・遺伝子毒性試験 ※主にポリフェノール素材
3.機能性試験の実施
3-1. 試験管試験や動物試験
3-2. ヒト臨床試験
4.特許の取得
このリストは、深掘り戦略で原料販売を行っていく上で、是非、参考にしていただければと思います。
1は、どこの理系の人間が在籍すれば、レベルは別にして、どこの会社さんでも作成可能です。
まぁ、例えば原料受託バンクは、資料数や種類の種類などから、それがすぐにわかります。
資料が何もない原料メーカーは、原料に投資する気がないと考えた方が良いだろう。(基本、私は、選択から外しています。)
ちなみに、資料は、基本、文献が示されたエビデンスベースである必要があります。
近年、業界でも、常識になりつつあります。
さらに、これからの時代、どう?情報発信するかも重要になってくると思います。
反復投与毒性試験は、28日でも数100万円(国内では650万円くらい)のコストがかかりますが、弊社の場合、方針として、一定量販売する予定の原料に関しては実施することにしています。
まぁ、安く試験するスキームが確立できているからでしょう。
それでも、金がかかります。
原料への投資感覚がないと、なかなか予算を投じれないです。
最後の段階のヒト臨床試験は、機能性表示食品に対応しようとすると、1000万円くらい普通にかかってきます。高いバイオマーカーを使って3群で行ったりすると、2000万円近くになることもすくなくありません。
とにかく、金がかかります・・・。
実際、受託加工会社さんの中でも最大手と呼ばれる会社さんは、原料選定を行う場合、一定基準で投資されている原料しか選定されません。
例えば、単回投与毒性試験は必須、反復投与毒性試験(28日以上)やエームス試験は推奨という感じで、非公開設定されています。
コンプライアンス 面が厳しくなっているため、当然の流れだと思います。
最大手の1つの某社さんなんて、ここら辺が、めちゃ厳しいですからね・・・。
まぁ、きちんと要求を満たせれば、大きな売り上げにつながる訳ですが。
ちなみに、古くて大きい原料メーカーさんの中には、3-1の 試験管試験や動物試験まで徹底されている会社さんも存在します。それは、優秀な研究員を抱えているため、可能なんだと思います。
実働部隊を持たず、ファブレスな原料メーカーである弊社には真似できない戦略。凄いなぁと思います。
どんなに新規参入しようとされても、各社で、こういった表に出ない選択基準が存在するため、この篩で落とされるケースも多いのです。結局、こういった原料への投資を深掘りするほど差別化材料になり、付加価値を付けて原料流通させることが可能になります。
原料に投資しておらず、データ等がなければ、こういった選定基準がない、選定基準がザルの顧客に対して営業を行うしかないのです。そいった顧客は、基本、コストだけです。
したがって、コストで勝負する必要性が必然的に出てくるので、どうしても薄利多売の安売り戦略になりやすいのです。
まぁ、添加物系の原料も、コスト合戦になりやすい理由も、ここにあります。
深掘り面で差別化しにくい。
特許に関しては、いろいろな意味があります。今後、市場では、重要度が増していきます。
例えば、弊社の赤ワインエキスのように、最終顧客の販促目的というのも1つ。
もちろん、並行輸入原料や類似原料の排除という重要な役割もあります。赤ワインを原料にすると、必ずLPSが生じるので、カラムに通してエタノールまたは含水エタノールで溶出していれば特許に抵触するので、ピンポイントで並行輸入原料や類似原料だけを排除する特許になっている。
でも、抵触していても、抵触する可能性があっても流通し続ける原料メーカーさんが存在します。やっぱり、特に、製法特許だと、実証しにくく、成分の含有が特徴だと、分析して示す必要が手間だからです。
一方で、最終顧客や大手受託加工会社さんは、コンプライアンス面より、そんなリスクは冒さないです。弊社の赤ワインエキスについても、それが顕著に表れ始めています。
しっかりと、深掘りしている原料を販売していく上で、さらに深掘りしていくには、こういった特許取得も重要になってきます。
そして、深掘りタイプの原料販売事業は、投資マネージメントビジネス と言っても過言ではないでしょう。
まぁ、いずれにしても、深堀り or 安売り、どちらを選択するかは、各原料メーカーさんの方針次第。どちらが正解とは言えないでしょう。
むしろ、トコトンどちらかを選択して、徹底しているメーカーさんほど、上手くいっているような感じがします。
弊社は、言うまでもなく、深掘りタイプ。だから、独自性のある原料しか選択しません。
この深掘りタイプの戦略を選ぶと、今後、ヒト臨床試験を定期的に行っていく必要が生じてきます。
そのためには、的確かつ効率的(;低コスト)で試験を行っていけるような体制を築いていく必要があります。ここ数年、新たなヒト臨床試験実施モデルも構築しつつあります。
常に努力だなぁと思います。
【独り言】
今回の戦略については、経営者の手腕が問われるところだと思います。
収益が出ても、経営者の高い給与に消えていくだけの会社も少なくない業界です。原料にも新たな投資を続けなければいけないし、社員にも還元しなければならない。
業界も成熟したので、単なる輸入商社では生き残っていけない時代。
ほんと、いろいろな形の原料投資があるだろう。
弊社は、すでに第2ステージとも言えるような、新たな原料開発に進みつつあります。
「日本の技術」 を世界に発信していくべく、新たなスキームで原料を開発していく必要があるだろう。
そうしなければ、国内だけでなく、国際社会でも勝ち残っていけない。
ぶっちゃけ、中国企業に敵わず、ドライにコストだけを追求し続けた米国市場のようになってしまうだろう。