今回は、愚痴のような、独り言のような記事。
最近、私が一円も儲かる訳ではないのに、原料トラブル原因や販売の相談を受けることがある。しかも、うちの競合に当たるのに・・・。
原料を購入してもらっていなかったら、無視するだけなんだけど、客でもあるからなぁ。

まぁ、こういったトラブルが起こる原料は、原料というより、原料メーカー(主に輸入商社)に問題があることが多い。
そういった原料メーカーの特徴は、

秘密保持契約を締結しても、
工場情報が隠蔽される原料メーカー

そう感じている受託加工会社さんや商社・問屋さんの人間は、少なくないはず。

実は、時には、こういった秘密主義の輸入原料メーカーの原料は、仕入れを行っている製造メーカーが変わっている最悪なケースも多々ある。
グローバルな製造メーカーの場合、世界中に複数の工場を持っているため、製造メーカーは同じでも、製造国や工場(グループ内や下請け)が変わってしまうこともある。メーカーは開示しても、工場まで開示しない会社さんの例。
そりゃぁ、トラブルが起こって当然ですよね・・・。

よくあるトラブルは、こんなもの。

黒点
・嵩比重の変動

・色目の変化
・性状(流動性や結晶構造など)の変化

まぁ、いきなり理由なく規格が変更された場合などは、製造メーカーが変わったと考えても良いだろう。
そうなってくると、過去に行った安全性データや有効性データは、ほとんど意味をなさなくなる。
当然、品質も安定しない。

ぶっちゃけ、NMNなんて、製造工場が変わったら、物性(嵩比重や流動性)が大きく変化してしまうから、いきなりカプセル充填できなくなることもある。



黒点は、大したことないと思われるけど、数が多いと、結構、クレームになる。
弊社の山芋抽出物でも、黒点対策を行っていても、わずかに黒点が出てしまう。
過去、透明ソフトカプセルに山芋抽出物だけを配合した商品を試作した際、黒点が目立ったのでカプセルを急きょ着色しました。
これは、海外では、あまり気にされないクレーム。うるさいのは、日本市場くらいだろう。

この黒点の原因は、焦げと鉄(金属)の存在。
鉄は、土壌由来がほとんど。根由来の原料は、なかなか避けれない。イオン化して溶解していたものが粉末化後に析出する。
焦げの問題は、酵母のように、糖質を基材に利用している原料や糖質を多く含む抽出物に多いです。要するに、糖質の焦げ付き。

私の経験上、ある原料は、同じ原料でも、米国製造の原料とフランス製造の原料では、色目や黒点の数が異なりました。
違いの理由は、洗浄度合いと乾燥条件の違いでした。微妙な条件の違いですが、出来上がってくる製品の品質には大きな差がありました。

色目の変化は、植物抽出物で起こりやすいです。
製造メーカーを変えちゃうと、同じ規格でも、全く異なる原料に変わることも多々ある。
色目が紫だった原料が、茶色っぽくなるケースもある。熱のかけ方や抽出溶媒比率などが異なれば、当然、変化してくる。

ちなみに、異物のクレームが多いようであれば、オフィス小分けしていたり、原料の保管状況が良くなかったりするんだろう。ぶっちゃけ、小分け作業などを行っている数時間、封が開けっ放しで放置されていたりするんだろう。
吸湿して、物性や色目の変化が起こることもある。

だから、そういった原料メーカーから仕入れを行ってはいけない!
今後は、以下のような状況もあるので、小分けしている工場の営業許可書やHACCPの認可などの書類を提出させるようなcGMPに近い管理が求められるだろう。



保健所からは、原料製造工場には営業許可は不要とされるケースもあるけど、原料を輸出する際には、必須になることも多いから、きちんと保健所から発行してもらう必要があります。嫌がるけど、必ず出してもらえる許可書なので。

そもそも、情報を開示しない理由は、

競合に仕入れ先を知られてしまうため

という、非常につまらないケースが多い。
まぁ、この業界(特に原料業界)は、ズルいことをする会社さんも多いですから・・・。
スパイを使って、調べようとする会社は、多々あります。
仮に契約しても、別の輸入原料会社に(こっそり情報を横流しして)同じ原料を仕入れさせる販売会社や受託工場も存在したり、こうなっちゃうのですが・・・。

実際、弊社の事例として、まめ鉄も、SloIron社に直接コンタクトされる。
私が株主で役員だから、すぐにバレちゃいますが・・・。
(弊社にも問い合わせしていた)誰もが知る超大手さんがコンタクトしたのにはちょっとびっくりしたけど、食品業界って、こんなもんなんだなぁとがっくりした。

でも、情報の非開示は、簡単に海外の製造メーカーを調査できちゃう現代のインターネット社会において、あまり意味をなさなくなっています。

供給を独占して暴利をむさぼれる時代も終わった。
むしろ、品質管理力やオリジナリティーで、選んでもらう努力を行っていくべき時代になった。

研究開発などを投じなければ、常識の範囲で輸入者マージンしか取れないだろう。
ノウハウがなければ、薄利多売のビジネスにしかならない。

そういった将来が嫌であれば、独自原料に対して投資を行いつつ、同時に供給の独占体制を維持していく必要があるだろう。
実際、海外では、原料に数千万単位で投資し、代理店権を獲得している商社さんや企画屋さんも存在しています。

それを地道に行っているのが弊社です。
弊社の原料事業は、顧客の大手企業さん比率が高く、原料チェック基準が厳しい工場さん比率も高く、積極的な営業を全く行わなくても売上が伸び続けています。
ぶっちゃけ、3年以上、原料営業に出向いていないけど、毎年10%以上伸びている。

時代も変化しているのですから、経営も変化していく必要があるのです。