山芋(ワイルドヤム)は、古来より、民間療法でPMS(Premenstrual Syndrome、月経前症候群)の緩和に利用されてきました。そして、山芋の1つ、トゲドコロの粉末でヒト臨床試験が実施され、PMSに対して有効性が示されていました。
まず、この報告を紹介です。
トゲドコロは、ジオスゲニンが配糖体として多く含まれている山芋であること知られており、トゲドコロ粉末のジオスゲニン含有量は255mg/100gという報告がありますので、上記ヒト臨床試験の摂取量300mgにおけるジオスゲニン含有量は0.765mgになります。
ごく少量で有効性が示されております。
薬学部の先生方曰く、ステロイド骨格を持っているためだろうとのこと。
ジオスゲニンは、油に懸濁するか包接しないと吸収されにくい成分ですので、ソフトカプセル以外の剤型にするなら、個人的に、ジオスゲニン包接体原料を採用することをオススメしております。
配合量としては、ジオスゲニンとして8mg/日以上(弊社ジオスゲニン包接体原料で45mg/日以上)の摂取がオススメです。
この報告の原文も読みましたが、理想論を言うと、もう少し月経周期をコントロールして、VASや採血のタイミングなどを一定化した方が良いと思いました。
私は、まめ鉄のヒト臨床試験で、この部分、もの凄く苦労したので・・・。
ちなみに、弊社のジオスゲニン原料を用いて、同様な有効性評価試験を行うことは、機能性表示食品対応しにくい点などいろいろな観点から、なかなかハードルが高いです。
やるとしても、ジオスゲニン包接体だろう。
何れにしても、とても参考になる報告でした。特に、評価系の部分。
この領域は、フェムテック分野でも、月経による貧血同様、非常に重要な分野だと思います。是非、この文献を活用してPMS系サプリに配合していければと企んでおります。
なお、個人的な見解ですが、ヘモグロビン値の低下による一時的な鉄欠乏症状もPMS症状の構成要素だと考えています。なので、良質な鉄もしっかり配合することが望ましいと考えています。
P.S.
カプセルで摂取となっていますが、ハードカプセルなのか?ソフトカプセルなのか?という点がとても気になります。
この両剤型によって、全く結果が違ってくる可能性があるので。続きを読む
まず、この報告を紹介です。
The effect of Dioscorea esculenta powder on prostaglandin E2 and cytochrome c oxidase subunit 2 levels, menstrual pain, and premenstrual syndrome in young women: A randomized double-blind controlled trial
Abstract
Background Diosgenin, extracted from Dioscorea esculenta, has been reported to decrease prostaglandin E2 (PGE2) levels and any other inflammatory cytokine in rodents. However, it is still unclear whether D. esculenta intake suppressed PGE2 production and menstrual pain and premenstrual syndrome (PMS) in younger female. Aim This study aims to investigate the effect of D. esculenta intake on PGE2 and cytochrome c oxidase subunit 2 (COX-2) levels and on menstrual pain and PMS in young women. This is a randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study. Methods Ten healthy young females were administered either a placebo or D. esculenta (300 mg/day) for 4 weeks, followed by a 4-week washout period. Fasting blood sample was taken from the fingertips on the second day of menstrual cycle began and obtained 24h before the last D. esculenta to avoid acute effects. Participants then switched treatments for 4 weeks as a second trial. Plasma PGE2 and COX-2 levels were measured before and after each trial. The visual analogue scale (VAS), McGill pain questionnaire (MPQ), and Daily Record of Severity of Problems (DRSP) were also evaluated. The study was set and conducted from 2019 to 2020. Results PGE2 and COX-2 levels significantly decreased after D. esculenta intake compared to placebo (p = 0.038, p = 0.042 each). The VAS and DRSP scores were also significantly lower after D. esculenta intake (p = 0.046, p = 0.035 each).
Conclusion Four-week D. esculenta intake suppressed PGE2 and COX-2 levels resulting in an improvement in PMS symptoms and menstrual pain in young women.
Nutr Health. 2022;2601060221130889.
↓ Google翻訳
若い女性のプロスタグランジン E2 およびチトクロム C オキシダーゼ サブユニット 2 レベル、月経痛、および月経前症候群に対するDioscorea esculenta(トゲドコロ)粉末の効果: ランダム化二重盲検比較試験
要旨
背景 Dioscorea esculenta から抽出されたジオスゲニンは、げっ歯類のプロスタグランジン E2 (PGE2) レベルおよびその他の炎症性サイトカインを低下させることが報告されています。 しかし、D. esculenta の摂取が若い女性の PGE2 産生と月経痛および月経前症候群 (PMS) を抑制するかどうかはまだ不明です。 目的 この研究は、若い女性の PGE2 およびチトクロム c オキシダーゼ サブユニット 2 (COX-2) レベル、および月経痛および PMS に対する D. esculenta 摂取の影響を調査することを目的としています。 これは、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー研究です。方法 10 人の健康な若い女性にプラセボまたは D. esculenta (300 mg/日) を 4 週間投与し、その後 4 週間の休薬期間を設けました。 空腹時血液サンプルは、急性影響を避けるために、月経周期開始の 2 日目に指先から採取され、最後の D. esculenta の 24 時間前に採取されました。 その後、参加者は 2 回目の試験として 4 週間治療を切り替えました。 各試験の前後に、血漿 PGE2 および COX-2 レベルを測定しました。 ビジュアル アナログ スケール (VAS)、マギル疼痛アンケート (MPQ)、問題の重症度の日次記録 (DRSP) も評価されました。 この研究は2019年から2020年に設定され実施されました。結果 PGE2およびCOX-2レベルは、プラセボと比較してD. esculenta摂取後に有意に減少しました(それぞれp = 0.038、p = 0.042)。 VAS および DRSP スコアも D. esculenta 摂取後に有意に低下しました (それぞれ p = 0.046、p = 0.035)。 結論 4 週間の D. esculenta 摂取により PGE2 および COX-2 レベルが抑制され、若い女性の PMS 症状と月経痛が改善されました。
トゲドコロは、ジオスゲニンが配糖体として多く含まれている山芋であること知られており、トゲドコロ粉末のジオスゲニン含有量は255mg/100gという報告がありますので、上記ヒト臨床試験の摂取量300mgにおけるジオスゲニン含有量は0.765mgになります。
ごく少量で有効性が示されております。
薬学部の先生方曰く、ステロイド骨格を持っているためだろうとのこと。
ジオスゲニンは、油に懸濁するか包接しないと吸収されにくい成分ですので、ソフトカプセル以外の剤型にするなら、個人的に、ジオスゲニン包接体原料を採用することをオススメしております。
配合量としては、ジオスゲニンとして8mg/日以上(弊社ジオスゲニン包接体原料で45mg/日以上)の摂取がオススメです。
この報告の原文も読みましたが、理想論を言うと、もう少し月経周期をコントロールして、VASや採血のタイミングなどを一定化した方が良いと思いました。
私は、まめ鉄のヒト臨床試験で、この部分、もの凄く苦労したので・・・。
ちなみに、弊社のジオスゲニン原料を用いて、同様な有効性評価試験を行うことは、機能性表示食品対応しにくい点などいろいろな観点から、なかなかハードルが高いです。
やるとしても、ジオスゲニン包接体だろう。
何れにしても、とても参考になる報告でした。特に、評価系の部分。
この領域は、フェムテック分野でも、月経による貧血同様、非常に重要な分野だと思います。是非、この文献を活用してPMS系サプリに配合していければと企んでおります。
なお、個人的な見解ですが、ヘモグロビン値の低下による一時的な鉄欠乏症状もPMS症状の構成要素だと考えています。なので、良質な鉄もしっかり配合することが望ましいと考えています。
P.S.
カプセルで摂取となっていますが、ハードカプセルなのか?ソフトカプセルなのか?という点がとても気になります。
この両剤型によって、全く結果が違ってくる可能性があるので。続きを読む