本日、2記事目。こちらは、お知らせと裏話紹介。
まめ鉄のヒト臨床試験論文が公開されましたので、弊社サイトでも告知しております。




【裏話】
今回、鉄素材によるヒト臨床試験を海外雑誌に投稿する場合、いろいろな壁があることを理解しました。

まず、日本と海外における鉄の摂取基準の違いです。

成人女性の鉄の摂取量、北米は18mg/日、日本は10mg/日という違いがあります。
そのため、今回のように5 or 10mg/日に摂取量を設定すると、まず、摂取量が少なすぎるという指摘からスタートします。
その時点で、最初から否定的な査読者が出てきます。

この問題は、我々が鉄素材で海外雑誌に投稿する上で、常に付きまとう問題だろう。

一方で、海外の査読者が指摘するように、10mg/日って少なすぎるんだと思う。
特に、鉄欠乏の症状がある人達に対しては。
だから、日本って、女性における隠れ貧血の比率が非常に高いんだと思う。

今回の試験からも、最低10mg/日補うべきだと思った。

次に、ある程度のインパクトファクターの雑誌では、英文でのプロトコール(治験計画書)や基本データの提出が求められ始めました。
プロトコールの英語翻訳作業が求められます。
今後、この動きは、主流となってくるかもしれない。何れにしても、登校前にチェックが必要。

これは、EUのある制度の影響もあるのだろうが、基本は、不正防止が目的なのだろう。
悪いことする奴、どこの世界でもいるからな・・・。
製薬業界も、こんな流れですから。



最後に、鉄って、専門とする人達がたくさんいる。
1人1人が違う考え方をするため、査読者の指摘のポイントが全く異なる。自分の専門の視点でしかコメントしてこない。

例えば、今回の雑誌では、査読者が生物学的栄養強化(Biofortification)に対する引用や考察を求めてきた。



豆由来の鉄で世界的な研究が行われているので理解できるのだが、豆由来フェリチン鉄が熱で加水分解する知見がなく、生物学的栄養強化された豆の研究の多くは煮豆でありフェリチン鉄が加水分解していることも理解していなかった。

一方で、リジェクトしないのに根底から試験方法を否定していた査読者は、完全に食品(サプリメント)ではなく医薬品目線での指摘。

医薬品開発行っている訳ではないのに・・・と思いつつ、論文を何度も修正した。最終的に、4ヶ月以上返答せず、返答の度に研究自信を否定するので、雑誌社にも怒りのクレームを出しつつ、投稿を取り下げたが・・・ほんと、時間の無駄だった。

ちなみに、鉄という素材を臨床研究で検証する場合、葉酸やビタミンB12の欠乏している被験者の影響も生じてしまう経験をいたしました。
本来、鉄だけでなく、葉酸やビタミンB12も同時に補うことも大事。でも、そうすると、葉酸やビタミンB12も影響も生じてしまい、鉄素材そしての評価に問題が生じる。

何れにしても、とても勉強になった論文投稿でした。
この経験を今後に活かしていきたいと思います。