弊社の競合原料による機能性表示食品が増えている。
一方、この原料は、原料の分子量も安定しておらず、定量分析の方法も開示されていない。かつ、定量限界を満たすとは思えないような配合でも申請が受理されている。
疑問に思うことが多い。

機能性表示食品では、商品に対して成分の定性性や同一性というものが求められます。
近年、この部分が非常に厳しくなっています。
実際、本日改正されたガイドラインでも、その部分が強化されている。

もっと具体的に言うと、1つの成分でも分子量に幅がある原料の場合、ヒト臨床試験を実施して有効性を示したサンプルの分子量と製品の分子量分布は同一であるか?というものが問われます。

コラーゲンや多糖類(ヒアルロン酸、プロテオグリカンなど)の場合、非常にハードルが高い。
例えば、コラーゲンペプチドなどは、今後、分子量分布の定常性(常に一定している、変化のない状態 )を求められ始めるであろう。
プロテオグリカンも同様だ。

現在、消費者庁は、多くの機能性表示食品の含有量などをチェックしています。
実際問題、同一性の延長で、この定常性までチェックされたら、非常に困る商品も多々出てくるでしょう。

例えば、プロテオグリカンの場合。
非変性のプロテオグリカンの場合、HPLCで分析を行うとアグリカンの分子量であると考えられる90~140万Daで分子量の定常性が得られる。
一方、変性したプロテオグリカンの場合、我々の調査では、原料の段階で分子量分布にかなりのバラツキ(非変性部分が増えている傾向)が認められています。よくよく考えると、変性させないより、安定して変性させる方が難しいだろう。でも、この変性したプロテオグリカンでデータを取ってしまっているので、戻ることができない苦悩もあるだろう。

さて、今後、この定常性について厳しくチェックされるようになった時、定常性に問題がある商品は、どのようになっていくのだろうか?
まぁ、その前に、同一性の段階で、商品中の成分の分子量分布を求められたら、どう対応されるのであろう?

まさに、パンドラの箱である。

今回の改定内容を見ていても、冒頭で示した原料については、功を焦り、リスクのあることを進めてしまったなぁと思う次第である。

ここ最近、疑問に感じていることも含めて、チクリと書いてみた。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。