近年、顧客からヒト臨床試験を実施したけど結果が出なくて困ったという話や論文化が上手く進まないという話などを耳にします。

まず、結果が出ないという問題は、プロトコールの作成段階で何らかの問題がある可能性が高いです。
基本、プロトコールを作成する前に、文献検索を行って得られた報告例から「どういった条件であれば結果が示されるか」の評価が不可欠です。
そこで注意が必要なのは、機能性表示食品の試験は、健常人である必要があるので、疾患者より明確に有意差が示される可能性が低いという点です。そこに落とし穴があります。

周辺情報を持っていない会社がプロトコールを組んでも、良い結果が出るはずがありません。
治験会社に任せきりにして、責任問題について、治験会社とトラブっている会社さんもあるようですが、治験会社との契約書では、責任が問えないようになっているはずです。
注意が必要です。

どうしても結果を出したいのであれば、多少コストアップしても予備試験を行ったり、1度でなく2度の試験で求める結果を出す治験プログラム(例:1回目は多めの摂取量で実施、2回目で微調整を行いながら目的とする摂取量で実施)が必要だったりもします。

次に、起こっている問題。
それは、論文作成です。

年々、医学系和文論文の査読レベルが上がっています。この機能性表示食品の制度を意識してのことでしょう。
経験上、ある程度、医療統計解析の知識がある人間が著者の中にいた方が良いです。

そういった変化に伴い、過去にも少々紹介いたしましまが、いろいろなトラブルが生じているようです。

過去の記事 怒り心頭 そもそも治験会社が論文作成代行するのが間違っている

論文の査読が通らない
なかなか論文化されない

作成の過程でミスが見つかった

査読が通らないのは、最初からのプロトコールもしくは解析に問題がある可能性があります。また、どんな図表を用いて、どんな構成・どんな結論付けを行うかによって、論文の質も変化しますので、>誰が論文を取りまとめるかが最も重要だったりもします。
著者に博士を持った人がいれば、なかなか起こりにくい事情であり、治験会社の修士卒の若者がまとめると起こってしまうでしょう。荷が重く、かわいそう。

まぁ、安い価格で論文作成を依頼すると、起こって当然。
査読が通らなくても、治験会社はそこまで責任取らないと思うし、想定されるトラブルです。
そもそも、周辺論文も保有していないでしょうから、どうやって背景をまとめるかも不思議です。

論文化に時間がかかるというのは、ケースバイケース。かかっている時間次第。
論文作成には、時間がかかります。良い内容に仕上げようとする程、時間がかかるものです。
その大変さは、書いたことのある人間しか理解できないでしょう。

私は、会社の未来のために頑張るけど、お金をもらっても、絶対に引き受けたくない!
私の時間当たりのコストから換算すると、とんでもない金額になってしまう。正直、合わない!
私の場合、パンパンな通常業務の空き時間で仕上げなければならないため、数ヶ月間、自宅での仕事が深夜に及んでしまいます。自分を削る必要が出て来るので、体調も崩し易い。

ちなみに、赤ワインの論文の時は、集中している時に遮られたくないので、何度も何度も喫茶店に逃げて論文作成や修正を行いました。

だからと言って、論文を作成できる人材が揃っている会社ばかりではなく、いても1人、2人。中小企業なんて、いないケースの方が多いでしょう。できる人間が頑張るしかない現状があります。
できる人は、周りにも大変さを理解してもらえず、かなり孤独だと思います。

作成の過程で、ミスが見つかることがあります。あってはいけないとこだけど、人が解析を行っているので、起こる可能性はゼロではないです。
ミスの度合い次第ですが、書き直しという最悪なケースもありえます。
まぁ、起こるのは、ビジネスモデルの何処かに問題があるのでしょう・・・。

そういった背景もあり、論文作成の受託料金って設定しにくいです。
誰がまとめるかでも、価格は変わってきますしね・・・。

是非、そういった事もご理解いただいた上で、論文化に着手していただければと思います。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。